6/13〜7/3の21日間で開会された6月定例会において上程された、議案第57号「大阪広域水道企業団の共同処理する事務の変更及びこれに伴う大阪広域水道企業団規約の変更に関する協議の件」について、最終本会議で公明党として討論した内容を記しておきたいと思います‼️
本議案につきましては、昨年3月の本会議で可決されたものの、その後の東大阪市議会にて否決され、統合協議から撤退をされることになりました。そのことによって、当初10団体の予定で進められてきたものが、今や半分の5団体が残っている状況です。
これまで撤退された自治体の主な理由は、「統合後の業務運営体制に係る定性的な効果が明確ではないこと」や「水道料金の決定権が市から企業団に移ること。市側は議会の意向を伝える仕組みをつくるとしたが、どこまで反映されるか不透明との見方は変わらなかった。」などがありました。
その上、大阪市は企業団に入っておらず、堺市は大阪水道企業団の企業長であるのに、事業統合が今なおはっきりとしない状況にある中、今や中核市で統合に向けての検討・協議を行おうとしているのは八尾市のみとなってしまいました。このようなことでは、府域一水道の計画自体が破綻しているのではないかとの懸念を抱かざるを得ない状況での議案審議となりました。
そこで今回新たに生じた懸念事項について、建設産業常任委員会での質疑や大阪広域水道企業団への問い合わせ等を通じて、詳細に確認をしてまいりました。
企業団への事業統合の必要性につきましては、水道事業の現下の厳しい状況は全国共通の課題であり、本市においても厳しい状況がこれからも続いていくことが予想されるなか、広域企業団への事業統合を早急に行うことによって、補助金などの定量的メリトや、技術継承問題解消などの定性的メリットにより、将来に亘っての安全で安心且つ安定的な水の供給が確保されていくとの、基本的な説明は一定理解をするものであります。
しかしながら、全ての懸念事項が解消されたわけではありません。これまで我が会派よりお示しした懸念事項や提案につきましては、今後事業統合に向けた協議を進める中で、懸念事項の解消や提案の実現を図っていくことを強く求めるものであります。
常任委員会で指摘いたしました内容の内、5点について申し上げます。
先ず、定量的メリットとして示されている補助金についてですが、現に統合協議を撤退される自治体が増える度に減額されています。ご説明の中では、補助金による効果を一番に挙げられていますが、本来補助金は、事業費支出に伴い、その30%程度の補助金収入になります。この収入は企業団の水道センター会計に入ることになります。当然のことながら、この補助金は事業費に充てられるものでありまして、42.5億円そのままが他に活用できるものではありません。いかにもこの額がメリットであるかのような誤解が一部あるようですが、そうでは無く、この補助金により実施される事業による効果が、どのようなボリュームでシミュレーションに活かされていくのか、こういった「ロジック」に基づいた説明が明確にされていないのが問題であります。
今後、これらの効果につきましては適宜検証するとともに、その検証状況を議会に説明するよう求めます。
次に、水道料金改定やその他の重要事項は、企業団の議会に諮られる前に首長会議で諮られますが、この会議の最終決定は多数決です。八尾市に不利となるような内容が出た場合、当然のことですが、市長の役割が非常に重要であります。その点、市長には頑張っていただくようお願いしておきます。
一方で八尾市議会としても意見を言う仕組みが大事だと考えます。重要事項については、企業団より市への説明があり、市議会への説明、必要に応じて市民への説明がなされるとの説明を受けていますが、正式な仕組みとして担保されていません。この点は、他市においても統合協議撤退の理由になっておりますので、八尾市議会からの意見を反映できる仕組みを作るよう求めておきます。
次に、先のコロナ禍での水道基本料金の減免措置の実施など、市民生活に直結する緊急の措置については、統合後においても一般会計からの繰り入れにより実施できる旨の認識を示していただいていますので、この点よろしくお願いします。
次に、統合後に例えば神立ポンプ場の跡地売却の意向調整や、一般会計からの水道センターや企業団への繰り出し金等々、企業団の水道センターと八尾市との関係を調整する窓口が市側に必要であることを提案しました。答弁では、「調整窓口が必要であることから調整をしていく。」とのことでありますので、早期の実現を求めておきます。
最後に、水道職員の身分移管の関係について、6市連名で企業団に対し要望されたことへの企業団からの回答で、「中核市が統合されたら本部機能を強化する必要があるので、本部への異動をお願いする場合がある」と回答されていることに不安を感じている旨を申し上げ、その対応を質しました。
答弁では、「職員のいろんな事情も踏まえて、希望をしない異動については、しっかりと配慮する」とのことですので、この点よろしくお願いしておきます。
令和7年4月統合し、事業開始の予定と聞いています。あと10カ月もない現状でも不確実なものが状況です。メリットの発生は40年間をみていかなくてはなりません。
統合までの協議で内容をしっかりと詰めていただき、さらに、仮に統合したとしましても、「当面の間は水道センターごとの運営がなされる」とのことですので、その間も市として見極める仕組みを作るとともに、我々議会も検証できるように、情報の共有と、議論の場、意見の反映ができる仕組みを作っていただくよう強く求めました。

